CVIC通信

CVICより皆様へのメッセージを届けます

“Back to the source” 「原点回帰」

医療に携わる人が常に心がけるべき姿勢として、多くの先輩方から教えられてきた言葉があります。

「患者から学び、患者に励まされる。」

医療機関で医療従事者として仕事をしていると、幾度となく涙を見ることがあります。多くは嬉し涙か悲しい涙です。もちろんですが、CVICは医療機関です。このCVICでも涙を見ることがあるのかなと思っていました。CVICがスタートして間もないころに下記のようなエピソードがありました。

いつもの検査結果の説明の様に、心臓CT検査を受けられた60代女性に、3D画像をお見せしながら、大丈夫でしたよと説明していました。通常は、「良かったです。」と微笑まれる人がほとんどです。しかし、この患者さんは、突然泣き始めました。嬉し涙かと思っていると、悔し涙でした。

「どうして、こんな素晴らしい負担の少ない検査を主人が受けてくれなかったのか。」

実は、この女性患者さんは、糖尿病を長く患っていたご主人様を、3ヶ月前に心筋梗塞による突然死で亡くされていました。糖尿病は血管病です。血糖値が高いだけで死亡することはほとんどありません。糖尿病による動脈硬化の進展で、血管合併症にて亡くなる患者が多いのは、非常に残念なことです。恐ろしいことに、糖尿病の患者は胸痛などを感じない、無症候性心筋虚血が多いことは非常によく経験することです。この女性患者のご主人も、早朝に突然お亡くなりになっているのが発見され、病理解剖にて心筋梗塞が同定されたようです。

「先生、是非ともこのような検査を、出来るだけ多くの患者が受けられるように頑張ってください。」

もう少し、我々の努力が足りていれば、救うことが出来たかも知れない患者を救うことが出来なかった。我々のCVICを、もっと多くの患者に知ってもらわないといけない。我々はまだまだ努力が足りないと反省しました。と同時に、CVICの目指している方向性は決しても間違っていないと確信した出来事でもあります。

初期の立ち上げの頃の大変つらい時期でもあり、CVIC projectは無理なProjectではなかったかと不安がよぎることもあった時期です。非常に勇気づけられたエピソードです。

新生CVICにも多くの困難が待ち受けていると思います。しかし、原点に返り、

「一人でも多くの患者に最新・最初の心臓画像診断を届ける。」

この目標達成のために、Staff全員で力を合わせて邁進して行きたいと思います。

f:id:mterashima:20150401045454j:plain