CVIC通信

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“Diabetes and Cardiovascular Disease” 「糖尿病と心血管病」

糖尿病が、心筋梗塞脳梗塞、閉塞性動脈硬化症(足の血管病)などの心血管病の重要な危険因子の一つであることは古くから知られています。糖尿病を上手くコントロールすることで、心血管イベントの危険性を42%、心筋梗塞脳梗塞などによる死亡を57%減少させることが報告されています。

糖尿病患者は、生活習慣の欧米化により日本でも増加しており、20歳以上の男性の6人に1人が糖尿病という厚生労働省の統計があります(図参照)。健診で糖尿病と言われても放置している人が約40%という統計もあります。糖尿病は、生活水準の高い先進国だけの病気ではなく、世界中で増加しています。世界の統計では、7秒に1人が糖尿病が原因で死亡しており、糖尿病患者の2人に1人は糖尿病であることに気が付いていないというデータがあります(図参照)。

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一度心筋梗塞を発症した患者は、2回目の心筋梗塞を発症しやすいことが知られています。糖尿病があるだけで、1回心筋梗塞を発症した患者と同程度の心筋梗塞発症の危険性があるというデータがあります(図参照)。糖尿病に如何に対処するのかは、今後も循環器の世界で益々大きな問題となると思われます。

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糖尿病患者並びにその予備軍の増加に伴い、糖尿病の治療薬も進歩しています。様々な機序の糖尿病治療薬が登場して、糖尿病関連の学会や研究会は活気が出ています。そのような研究会の一つである「新宿区医師会糖尿病研究会」で講演をさせて頂く機会を頂きました。

https://www.facebook.com/events/695880547207373/

糖尿病患者の動脈硬化が進行して、心筋梗塞脳梗塞になる前に画像診断で発見できることのメリットは大きいと思います。また、どんな素晴らしい治療薬も、患者が薬剤を継続して内服し(薬剤コンプライアンスの向上)、非薬物療法としての食事や運動を継続して実施しないことには治療効果を上げることは出来ません。いわゆる患者の治療へのMotivationの向上が重要になります。それにも、心臓画像診断は大いに役立つのではないかと考えています。このようなCVICの思いをお伝えできればと思います。